糖化した麹をアルコールに変えてくれるのが酵母だが、その酵母は低温に弱い。 せいぜい我慢して働いてくれる温度は摂氏10度前後・・・ それ以上に温度が上がるとフルーティーな味と香りが霧散してしまう。 厄介なのは酵母の醗酵が進むと温度が上がるのと冷え込みの厳しい夜は温度が下がって酵母が死滅してしまう恐れがあることだ。
酵母を、その苦手とする低音の中に閉じ込め、生きるか死ぬかの死線をさまよわせながら繁殖を続けさせるという至難の業は、杜氏と酵母との戦い、或いは、酵母と蔵人の我慢くらべかもしれない。